5.(株)珈琲工房HORIGUCHI 堀口俊英さん
<プロフィール>
1948年生まれ。現在(株)珈琲工房HORIGUCHIの代表取締役。
SCAAカッピングジャッジ・SCAJ理事・日本コーヒー文化学会理事。
1990年 東京都世田谷区にビーンズショップ喫茶「珈琲工房HORIGUCHI」を開業。
2009年 現在、店舗は世田谷のほか狛江、上原の3店舗を経営する。
2002年 「堀口珈琲研究所」を開設し、コーヒーの栽培、精製と香味の研究のほか、 セミナーの運営、開業支援も行う。
スペシャルティコーヒーの生豆の輸入も行い、85店のビーンズショップグループである “LCF(リーディング・コーヒー・ファミリー)”を運営するスペシャルティコーヒーのパイオニア。 主な著書は、 「コーヒーのテースティング」(柴田書店)、 「スペシャルティコーヒーの本」(旭屋出版)
「おいしいMYコーヒーの愉しみ方」(大泉書店)


テレビ、雑誌で大活躍!若々しくエネルギッシュな堀口俊英さんに、 コーヒーについての色々な思いを伺ってきました。 コーヒーを理解する為にワインを勉強し、『コーヒーもワインと同じだ。』と思った時に 「クレイジー!」と言われた堀口さん。そのあたりのお話を織り交ぜながら
<コーヒー好き>の方たちにメッセージを頂きましたのでご紹介致します!
(取材・文・写真/福島達男)


堀口さんがコーヒーの仕事に関わったきっかけは何ですか?

私の大学時代は喫茶店文化全盛期で、コーヒーの普及期でした。
喫茶店が溜まり場だったので、 そこに行くのが当たり前のように毎日通っていました。
そこで自分もいつか店をやってみたいという潜在的欲求が出来たのだと思います。 その頃はコーヒーが好きだったのですけれど、コーヒーの良し悪しはよく分かっていなかったと思いますね。 コーヒーの仕事をやり始めて、コーヒーの良い悪いをチェックしだしました。


コーヒーの仕事をやり始めてご苦労されたことは何でしょうか?

私がコーヒーの仕事を始めてすぐに、生豆に苦労しました。
良いなと思える生豆が無くて、 ひどい時には一時、4カ国ぐらいの豆しか使わない時期もあったぐらいです。
どうしようもなくて、1999年にこもって書いたのが「コーヒーのテースティング」という本なんです。 当時生豆の勉強をしたいと思っても、自分の知りたいことを教えてくれる人が誰もいなかったのです。
コーヒーの味や品質に関しても、美味しい美味しくないの評価が1人1人の主観で述べられていたのでバラバラでした。 その頃はテースティングもロースティングも抽出も基本のない時代だったんですね。 しかし、味の評価にも基本となるものがあるはずだと思い、コーヒーの世界を探しましたがなかったのでワインの世界に目を向けたのです。


ワインに目を付けられたきっかけは、 若い時から飲んでいらしたからでしょうか?

(実は結構なワインコレクターという情報も入っています。)
いえ、少しは飲んでいましたけれど、テースティングの勉強をするようになってからですね。 コーヒーを理解する為にワインの栽培と味を勉強し始めたのです。 ワインの世界に入っていくほど“コーヒーとワインは同じだ。”と思いました。 それを話すと世間からは“クレイジー”と言われたのです。(笑) ワインの世界ではテースティングをし、トレーサビリティー(履歴)をチェックし、 自分の中の履歴と照らし合わせてチェックするという事は当たり前のことなのです。

テースティングシートといって、 味や品質を評価する基準となる項目が書かれてある用紙があり、 それに点数を付けて評価をしていく訳です。 2004年からはSCAA(アメリカスペシャルティ協会)の カッピングフォームで評価をしています。 現在、このフォームが生産国、消費国の両方でコンセンサスを得ています。 こういったやり方で、うちは1998年から自分で選んだ農園から <シングルエステート>つまり、他の所のものと混ぜられていない生豆のサンプルを取り寄せて評価し、データーを積み重ねてきました。 日本に輸入されていない、日本では手に入らないものばかりでしたけれどね。 エチオピアのイルガチェフェの味なんかはずっと追いかけているんですよ。 15年分ずっと評価したデーターがあります。 ケニアもここ5〜6年追いかけているんです。
出来の良い年悪い年があるのですが、 私のメンバーは皆その味を実際に飲んで経験していますから 美味しい味、それほどでもない味がわかるんです。 また、ワインの世界では<テロワール>といってワインを作る原料の葡萄の生育環境 (土壌、地形、気候、風土などを称して)を非常に重要視しています。 コーヒーもここ数年、スペシャルティコーヒーが注目されてからやっとテースティング、 トレーサビリティー(履歴)、サスティナビリティー(持続可能性)、といって ワインの世界に近づきつつありますが、まだまだ課題は多く 少しずつ解決していかなくてはいけない『未完の農作物』だと思います。 それゆえに私にとって興味が尽きることがない対象物です。

堀口さんの所ではセミナーを開催されていますが、 でも参加できるのですか?
ええ、誰でもOKですよ。
一般の人からロースター、ビーンズショップ、商社の方まで大丈夫です。 基礎編、カッピング、ロースト、ブレンドなどを教えています。 インターネットで受付しているのですが、アップして数時間で埋まってしまいます。 それで参加できないというクレームが多かったので、 月に1回から回数を増やして年間120回セミナーを開催していますが、 でもまだ取りにくい状況が続いています。

しかし、興味のある人は根気良くエントリーしてみてください。
あと、10年間続いているのが月に1度行っている<テースティング会>です。 これはおそらく世界で一番レベルの高い豆をテースティング出来る会だろうと思います。
あるグレード以上(85点以上)の生豆のサンプルは世界中でもそんなにないです。
そのサンプルを揃えられる人も滅多に居ないと思います。 日本に入ってきていない本当に良い豆を テースティング出来る機会はまずないでしょうから、これもなかなか参加出来にくいですね。

堀口さんの所では世界でトップレベルの生豆を扱っているそうですが、 誰でも買うことは出来るのでしょうか?
生豆は農園、農協、エクスポーターとのパートナーシップを基本として リスクを負って輸入しています。 <LCF>のメンバーにしか販売しませんし、 メンバーは他の商社から生豆を買わない仕組みになっています。

ではコーヒー好きはどうすればそのような生豆を手に入れ、 味わう事が出来るのでしょうか?
うちに焙煎豆を買いに来て頂くか、 <LCF>メンバーのお店に焙煎豆をお買い求めください。 喫茶に飲みに来て頂いても良いですよ。

コーヒー好きの方に何かメッセージを下さい。
『何が良いコーヒーか?』そして、 『何がおいしいのか?』きちんとカッピング出来るスキルを磨いてください。 世界には優れた香味のコーヒーが隠れています。 その香味を体験するお手伝いを致します!

最後になりましたが、堀口さんにとって焙煎とは? また、富士珈機に望む事をお聞かせ下さい。
焙煎とは生豆から魅惑的な香味を引き出す魔法のようなもの。
良い焙煎機とは焙煎する人が焙煎機に支配されず、 人の思いが反映されるものが良い焙煎機だと思います。 コーヒーの焙煎は、焙煎する人の感性(センス)で決まるものですから。 私が富士珈機に望む事は『早く次の新しい釜を作って下さい。』ということです。
<跳ね馬>のようなのが出来たらいいよね。
コーヒーを扱う店のもう8割ぐらいが富士珈機の釜を使っているんじゃないの?
みんな同じ釜を使っているんだよね。
そうすると生豆でしか差別化できないから性能の良し悪しは別として、 他の釜を選択する人も出てくると思いますよ。

実は今次の釜を開発しているんですよ。
価格はウンと高くなるかもしれませんが。(笑)


楽しみにしています。



珈琲工房HORIGUCHI

■世田谷店 コーヒー豆の小売り・喫茶
住所:東京都世田谷区船橋1-12-15
電話:03-5477-4142/FAX:03-5477-4143
営業:9:00〜20:00 定休日:年中無休(正月三が日以外)(コーヒー豆の小売り、喫茶)

■狛江店 コーヒー豆の小売り・コーヒー豆の通信販売・コーヒー豆の卸売・喫茶
住所:東京都狛江市和泉本町1-1-30
電話:03-5438-2141 FAX 03-5438-2142
営業:9:00〜19:00 定休日:日曜

■堀口珈琲研究所 上原店
コーヒー栽培精製の研究・生豆の輸入および卸売・開業支援等のコンサルタント・ セミナーの運営。
住所:東京都渋谷区上原3-1-2
電話:03-6804-9925
営業:10:00〜19:00
定休:日曜