2.石光商亊(株) 石脇智広さん

<プロフィール>
1969年鹿児島生まれ。石光商事(株)研究開発室室長。
全日本コーヒー検定委員会コーヒー鑑定士講師。
東京大学大学院工学系研究科修了後、
1991年に関西アライドコーヒーロースターズ(株)に入社。
2001年より石光商事(株)研究室室長として
コーヒーの栽培から抽出に至る全工程を対象にコーヒーの科学に取り組んでいる。
主な著書は、
「コーヒー鑑定士検定教本」(全日本コーヒー商工組合連合会)
「コーヒー検定教本」(全日本コーヒー商工組合連合会)
「コーヒー「こつ」の科学」(柴田書店)
石脇さんの講義はいつの間にか石脇さんの世界に吸い込まれていくような感覚になります。
丁寧でとても柔らかい雰囲気をお持ちの石脇さん。 コーヒーとの出会いから現在に至るまで、焙煎のこと等、様々なお話をお聞きしてきました。
(取材・文・写真/清田修司・福島建三・西田有里)

コーヒーとの馴初め。
東京大学在学中に近所のスーパー等でコーヒーを買っていましたが、 そのコーヒーはあまりおいしくなく、コーヒー自体最初は好きではなかったのですが、 ある日、萩原珈琲さんが卸している喫茶店のコーヒーを飲み、 今までのコーヒーと何かが違うと感じました。
・・・なぜこんなに味が違うのか? 原因を追求したく、自分でコーヒー豆を焙煎してみようと、
手回しロースターやフライパンを使ってコーヒー豆を焙煎し、データを録っていました。
しかし、目減りは計れたのですが火力調整が出来なくて困っていた時に、 富士珈機さんからガスの流量計を貸してもらい、 火力のデータも録ることが可能になりました。 学位を修得後、神戸の石光商亊さんで小型のコーヒーロースターから 250kgの大型コーヒーロースターまでを使用させてもらっているうちに、 自分で自家焙煎店を経営したいと思ったことがありましたが、 自分には販売センスが無いというのと、 ある人から『お客さんが言ううんちくをだまって納得して聞けるか?』と言われ、 それもさすがに無理だと思い断念しました。


焙煎機の熱源。
焙煎機の熱源の種類は色々ありますが、大きく分けて電気・ガス・炭火等があります。
一般的にはガス熱源が最も多いようです。 比較的クリーンでコストも安く、簡単に使える特徴がありますし、 調整も流量計、圧力計を付ければ精度の高い制御が出来ます。 電気も制御はしやすいのですが、ガスの2倍程度のコストがかかるので 大型ロースターには向いておらず、主に小型(家庭用)コーヒーロースターに使われています。 電気での焙煎は熱量が不足しがちなので、私はガスがベストだと思っています。


風味。
コーヒーの風味は、原料である生豆の資質によりおいしさの8割位占めるので、 どう焙煎するかによって豆の資質が変わってきます。 焙煎は生豆の持つ成分がどの様に化学反応を起こすかで決まります。 そして、化学反応は温度と時間の2要素で決まります。
時間経過にしたがって豆の温度をどの様に上昇させていくか、 豆の温度が何度になった時、焙煎を完了させるかの2点で風味が決まります。 皆さんは焙煎を難しく考えがちですが、理論的にはとてもシンプルな操作です。 ちなみに私の焙煎時間は平均13分程度で、長くても15分程度です。 短時間で焙煎する事によりコーヒーの良い所、悪い所が出てきます。 焙煎は豆の温度が1分間に何度変わったかという温度の変化です。 その連続的な変化は1分ごとに表示温度を記録することにより把握出来ますし、 それをグラフにすると感覚的に理解しやすくなります。
横軸を経過時間、縦軸を温度にした温度プロファイルと呼ばれるグラフがあります。 私は、富士珈機さんのロースティングコンパスを使っていますが、 温度変化のデータ自動保存、グラフ化、既存焙煎データとの比較グラフ化が出来ます。 ただ、記録するだけでは焙煎の管理にはなりませんので、 記録した全体像から1分間を取り出してみる事が大切だと思います。


直火or半熱風(熱風)。
ダイナミックな温度変化を希望される方は直火、 安定性を求める方は半熱風(熱風)をおすすめします。 弱火から急に強火に変えたり、急な温度変化には直火が向いていますが、 良い物、悪い物など実際にはまだよく分かっておらず、把握出来ていないかも知れません。
自分の好みによって焙煎時間の長短や、炎がコーヒーの当たる所により成分が変化するので、 それぞれのコーヒー店さんの表現で焙煎方法として良い、悪いと言う問題ではないと思います。

焙煎機の材質について。

ステンレスやアルミニウムの様な熱の保温、 熱伝導が良い金属を材料として使用する事によっての焙煎に与える影響は、基本的にほとんどないと思います。 あるとすれば、シリンダーの断熱の方法により変化はあると考えますが、おいしいかどうかは別です。 コーヒーの成分の変化はシリンダーの内圧によっても変わると思いますが、 排気ダンパーを閉めれば内圧は高くなるし、 閉めっぱなしにすればスモーク臭が付き、豆が煙臭くなります。
現在、富士珈機さんの1kgコーヒーロースターを使用していますが、 すごく使いやすいと思います。 工業製品のサンプルのコーヒー豆を煎るとL値(明るさ)の基準が厳しいのですが、 同じロットの豆を煎ると大型ロースターと同じ感覚で煎れます。



今後、富士珈機に希望されることは?
私自身コーヒーの学会に出席していますが、 その中でコーヒーロースターの発表がプロバットさんだけなので、 出来れば富士珈機さんにも出席し、発表して欲しいと思います。

石脇智広

石光商事(株)
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