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1.(株)マツモトコーヒー 松本行広さん

<プロフィール>
1958年1月14日生まれ。現在、株式会社マツモトコーヒー代表取締役。
1976年から大阪 冨士珈琲商会に勤務。17年間勤務後に独立。
1993年4月 地元神戸に戻り、自家焙煎店マツモトコーヒーを開業。
2001年1月からコーヒー生産地へ赴き、現地買い付けを始める
2008年4月 株式会社マツモトコーヒーを設立。
現在、日本各地の自家焙煎店様にスペシャルティコーヒーを販売されています。  

いつもの辛口トークの中に優しい表情をお持ちの松本行広さん。 皆のリーダーとしてコーヒーの産地に出向き、 本当においしい、極上のコーヒーを私達に届けてくれています。コーヒーに対する情熱は 海よりも深い!誰もがそう認める、そんな松本さんにお話をお聞きしてきました!
(取材・文・写真/福島建三・西田有里)  

―焙煎とは。
焙煎とは生豆の持ち味をそのまま出すこと・・・
メインストリームの商品にはいいものもありますし欠点もあります。
昔でいうテクニックで隠す、マスキングする、 またはブレンドすることによって独特の香味を出すことが出来ますが、 スペシャルティコーヒーに関しては シンプルに考えて焙煎すればその豆の持ち味が簡単に出ますし、 それ以上のことをする必要はありません。 コーヒーは誰もが言うように奥が深く、スタートがあってもゴールがありません。 『どこまでやるか』というのも難しい問題なので、 私は出来るだけコーヒーを難しく考えないようにしております。 もちろん難しさは知っておかなければいけません。 私も焙煎指導をしていく上で解っていないと説得力もありませんし、再現性もありません。 100点満点をを求めるコーヒーはとても大変で難しいので、 いつも80点のコーヒーを目指すように指導してます。 富士珈機の煎っ太郎で美味しく焙煎することは可能ですが、 焙煎豆の販売目的ではちょっと難しいですね。
自然排気の煎っ太郎ではサンプルコーヒーを煎る、 コーヒー豆の持ち味だけを素直に出すという目的で使用しております。 私が考える最良の焙煎機(お客様に勧める)は3s焙煎機で少しカスタムをしたものです。 
1 バーナーのカロリーUP
2 単独排気&鉄製ファン
3 2重シリンダーの半熱風
4 バーナーとドラムの間を10cm程離す
5 デジタル温度計の少数点表示
6 排気ラインの密封(アルミテープでダクト隙間をなくす。

スペシャルティコーヒーを焙煎する上で注意していることは、 熟度の高い、標高の高い硬いコーヒーは、 メインストリームのコーヒーと違って温度上昇カーブが異なります。
焙煎中の温度カーブが中だるみするところがあります。 シンプルな焙煎を心掛けておりますので、 この中だるみを抑え、豆に渇を入れるためにバーナーの火力が欲しいですね。
そして、生豆の形や硬さ大きさのよって焙煎は変わります。 例えば私どものマンデリンでしたら、標高1500mを越えることはありません。 標高1000m〜1200m程で、独特のスマトラ式という精製方法ですから 豆はやわらかく、火の入りがとても良いので、 焙煎初期から強火で焼きますと芯に火が入り焦げやすいですし、 ブラジルのコーヒーでしたらナチュラルのコーヒーは色付きが早いので 同じように考えないといけません。 私の基本としている中点は、投入から2分20秒で100℃くらいです。 それを上回っても下回ってもだめです。

※もちろん焙煎する生豆の量の焙煎機容量に対する比率で変わりますが、 そうですね、例えば3s焙煎機に対して生豆2s投入くらいで考えましょう。 そして、スペシャルティコーヒーに関しては『時間をかけて焼かない』という考えです。 もちろん焙煎機は1台1台、設置条件やメンテナンスの状態が違いますので 全てには当てはまりません。 『時間をかけて焼かない』ということが何分焙煎で、 『時間をかけて焼く』ということが何分焙煎、というのはナンセンスですが・・・。



コーヒー販売。
売り手が理想とするコーヒーの味と、お客様が求めている味は違います。
今、自家焙煎店がよくやっている方法で、自分達が好きだから、 好みだからその商品を売るという考え、それもひとつの方法ですが、 そればかりでは商売にはならないと思います。
まずお客様を見て、そのお客様が求めている味を創ってあげることが大切だと思います。
私も5年前までは自分がカップをし、好みのものを積極的に売っていましたが、 現在ではお客様の好み、求めている味を考えて、 『このコーヒーならあのお客様に合う』という考えで生豆を購入しております。 大切なことは自家焙煎店の方はまず、『お客様を見る』ということが重要で、 お客様が求めている味のコーヒーを探し、購入するということが 商売につながる肝心要の部分です。  



生豆について。
コーヒーの生豆というものはよく『保存が効く』といわれることがよくありますが、 生豆は常に変化します。 良い状態はどんどん変化し、劣化していきます。 コーヒーで一番難しいのは確かに『焙煎』だと思いますが、 『生豆の変化』ということも同じように重要なことです。
しかし、コーヒーの難しさにはまってしまいますと商売にはなりません。 ですから100点満点のコーヒーを求めるのではなく、 80点のコーヒーを目指すようにいつも自分に言い聞かせています。 
買い付けでは私は生豆の経時変化をいかに抑え、 お客様に届けるかというところに重きを置き、なるべく少量の買い付けを心掛け、 リーファーコンテナで輸送しております。
(日本の夏期6月〜8月は湿気が多いため特に気をつけています。)  
『コーヒーは生き物ということを忘れないでほしい。』
焼き豆には気を使う人が多いのですが、生豆に気を使う人は少ないようです。  

<フジローヤルについて>
コーヒー機械メーカーとして古くから日本のトップシェアを維持しているブランドで、 主に業務店向けに展開してきたけれど、現在は一般家庭向け、趣味の世界のコーヒーを 創ろうという新しい方向性はビジネスとしてとても面白いと思います。 このことは機械メーカーとして 機械だけを造っていればいいという考えでは達成できません。 ハードとソフトは今までは離れていましたが、 一体となってやる事でよりしっかりしたハード面が出来ていくでしょう。 我々自家焙煎店ももっとコーヒー機械のことを知らなければなりません。 基本的なことで言いますと『焙煎機は煙突の先まで焙煎機』です。 自家焙煎店の方々で焙煎機のメンテナンスが出来ていないお店が非常に多いのです。 そのために思うような味にならないことを コーヒー豆の責任にすることはいかがなものでしょう。  
  
あとがき
この度コーヒー情報サイトの立ち上げ、おめでとうございます。 機械メーカーの方々が我々と共にコーヒーをカッピングし、産地に出向き、 よりコーヒーを知ろうとして頂けることを非常に喜んでおります。 このことが日本のコーヒー業界のさらなる発展と 御社の繁栄に結びつくことを心より祈っております。

松本行広  

(株)マツモトコーヒー
住所:〒652-0847兵庫県神戸市兵庫区切戸町1-9
電話:078-681-6511/FAX:078-681-6522
URL:http://www.matsumotocoffee.com
E-mail : info@matsumotocoffee.com